相談内容
小・中学生のころから、年に5~6 回「ぜんそく」が起こり、そのつど点滴を受け、薬をのんでいました。20歳を過ぎた頃から強い発作が起きるようになり、救急入院して手当てを受けなければならないような状態になりました。そのころから、呼吸器内科に通院し始め、10年がたちました。
現在もテオドール、オノン、フルタイド、セレベントを毎日使用し、症状が強いときは4日間ほど副腎皮質ホルモンのステロイドも服用します。
しかし、最近は発作が以前ほど起こらなくなり、起こっても軽くてすむようになったので、発作が出たときだけテオドールを数日間服用するようにしたいと思いますが、それではだめなのでしょうか。また、ずっと薬をのんでいますが、将来、妊娠した際に胎児に影響が及ぶことはないでしょうか。
答え
「気管支ぜんそく」は気道の慢性的な炎症性疾患で、特に成人になってから発作を繰り返している人は、その後もずっと発作を起こす可能性が高いと考えられています。さらに、ぜんそくのある人は、呼吸器疾患のない人に比べて、呼吸機能が早く低下することも知られています。
呼吸機能がある程度低下すると、日常生活を送ることが困難になったり、仕事やスポーツをするうえで大きな支障を来すこともあります。したがって、ぜんそくのある人、特に発作を繰り返して入院したことのあるような人は、発作のないときでもぜんそくの治療(長期管理薬の使用) を続けることを強くお勧めします。
現在、ぜんそく治療の基本薬は、気道l直接到達する吸入薬となっています。ご質問者も、内服薬であるテオドールやオノンは中止できる段階にあるのかもしれません。ただし、それを判断する際、自覚症状だけに頼ることは危険です。ぜんそく発作を繰り返した人は、しばしば、発作(呼吸苦しさ) に対する感受性が低下してしまい、以前なら苦しいと感じた状態を苦しいとは感じなくなることがあるからです。
このような状態の人が苦しいと感じるような発作を起こしたときは、重篤な発作で、短時間で生命に危険が及ぶ可能性もあります。ご質問者は呼吸器専門医にかかっておられるようですから、呼吸機能 、あるいは気道過敏性などのデータがあると思います。それらを総合的に検討したうえで必要な薬の種類と量を決めてもらってください。
なお、発作時には速効性が高い吸入薬の気管支拡張薬を第一選択とするべきです。テオドールをはじめとする「のみ薬」の気管支拡張薬は効果の出現まで数時間以上を要し、発作時だけ服用することはお勧めできません。ちなみに、大多数のぜんそく治療薬、特に吸入薬は、胎児に悪影響を及ぼす心配がないと言って差し支えありません。むしろ、妊娠中にぜんそく発作が起こると、流産や早産など、胎児への危険性が増しますので、妊娠中は必要最低限のぜんそく治療(吸入薬を主体とする) を継続してください。
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