相談内容
軽い状態も含めると10年以上も「便秘」に悩んでいます。漢方薬のセンナを服用しないと、1週間でも2週間でも便秘が続きます。ここ何年も、自然に便意を催したり、用を足したということがなく、おなかがパンパンになって、たまりかねてセンナをのむと、2日後ぐらいに便が出るという状況です。以前は腹痛を感じることもありました。長い間下剤に頼ってきたのですが、何とか自分で便を出す感覚を取り戻し、常に あるおなかの張りをなくして、気持よく食事をしたいと思います。治療法はないでしょうか。また、どの診療科を受診したらよいでしょうか。
答え
長い間の習慣が、ことに大腸の動きを怠けさせているに違いありません。生薬のセンももこれに一役買っているかもしれません。センナは刺激性の下剤ですから、怠けた腸の運動を刺激するのに役立っていたはずです。しかし、センナを服用し続けることによって、植物性の色素が大腸に蓄積して、大腸を黒く変色させ、「大腸黒皮症」という状態が起こります。
欧米では、大腸の動きを調節する神経にもこの色素が沈着するとも言われており、いずれにしても大腸の動きに影響が出ることが予想されています。そのため、だんだんに下剤の効果が落ち、使用量を増やさなければならなくなると言われています。私が診た患者さんでは、ほとんどの方で、センナの使用をやめると、沈着した色素が徐々に減っていき、やがて消えていきました。
そこでまず、センナなどの生薬を服用している場合は、生薬ではない刺激性下剤に変更します。これを毎日服用して、毎朝の排便習慣を身につけることから始めることをお勧めします。また、食物繊維を多くとるなど食事内容に気をつけたり、積極的に運動を行うなどに向田意して、やがて薬を中止することが望ましいと思います。そのためには、早起きが必要です。朝ご飯を食べたら、15分後にトイレに行き、5分間だけ排便に集中するというリズムを身につけてください。食事をすると直腸以外の大腸が活発に動きますが、特に朝は小腸もこれにあわせて動きます。
このときに、直腸にほどほどの内容物があれば、便意が発生するのです。便は夜つくられ、睡眠中に直腸に運ばれるといわれています。よい便をつくるには、食物繊維が重要です。副食では、海藻、きのこ、こんにゃくなど、食物繊維を多く含む食品を常にとるように配慮してください。野菜、果物、いも類も欠かさないでください。主食は雑穀を混ぜたご飯とし、豆類もできるだけ多くとりましょう。以上のような食品をよくかんで、たくさん食べてください。歩くことも、便秘の改善に役立ちます。会社の行き帰りの歩行運動程度でよいのですが、歩幅を大きめにとり、早足で歩くなどの工夫が必要です。また、腹筋を鍛えるために、昼食5分前くらいに、少し腹筋運こ、つもん動を行うとよいでしょう。肛門を締めたり緩めたりする運動も行ってください。相談する場合は、消化器内科を受診してください。
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