突発性難聴の後、耳づまりが治りません

質問

昨年の夏、左耳が「突発性難聴」になりました。入院して、ステロイド薬による治療を受け、その間にMRI検査やめまいの検査を受けましたが、特に異常は見つかりませんでした。退院1ヶ月半後の検査では、低音だけは以前と同じぐらいに聞き取れました。 しかし、「舌が異常に響く」「強い耳詰まり感が続く」「耳鳴りがする」などの症状は、現在に至っても改善されません。医師には「現在の状態に慣れるようにしてください」と言われていますが、なかなか慣れることができません。症状を軽くする治療法はないでしょうか。

答え

MRI検査で異常がなかったとのことですので、脳に腫瘍などの危険な病気はなく、生命に危険が及ぶ問題ではないと、まずご理解してださい。通常、症状が気になる大きな理由は、何か危険な病気が隠れているのではないかと不安になるためです。症状を軽減する方法はいくつかあります。

  1. まず、耳鳴り、聴覚過敏、耳閉塞感につ いてよく理解することです。これらの症状 は、確かに「突発性難聴」の後遺症ですが、 現在のところ突発性難聴の原因がよくわか っていませんので、症状の説明も推測でし かありません。ご質問者の場合、症状の始 まりは突発性難聴がきっかけであったこと は確かでしょう。しかし、発症から1年も たつと、耳鳴りの信号は脳に特別な回路を つくっている可能性があります。その回路 が記憶や感情の中枢とつながると、症状が 強く感じられ、長く続くことになります。
  2. したがって、これらの症状を記憶させないためには、意識しないことが必要です。危険な病気はないとわかっていますので、症状に意識を向けず、やるべきことに集中できるとよいのですが、それがなかなか難しいのでご質問となつているのでしょう。
  3. このような場合、弱い雑音や環境音を耳に与えて、耳鳴りを薄めることが試みられます。家にいるときは、テレビやラジオをつけたり、音楽を流したりして、昔の中で生活するのです。耳掛け型の補聴器のような雑音発生器を装着する方法もあります。
  4. 前記の1~3を組み合わせた治療法に「TRT療法(耳鳴り順応療法)」があります。要点は先に述べたとおりで、これらに加え、苦痛について臨床心理士のカウンセリングを受けることも効果的です。
  5. 以上に加えて、薬物療法があります。医師は、カウンセリングの結果も参考にし、気分や不眠を改善する薬や、耳鳴りを抑制すると思われる薬を追加することがあります。気分が落ち込んだり、不眠が続いているとこれらの症状が強くなるからです。

以上のことを総合的に行うと、患者さんの70~80% で効果が得られたと報告されています。耳鳴りは完全にはなくなりにくいのですが、日常生活上は気にならなくなります。聴覚過敏、耳閉塞感も軽減しますが、かなり長期間の治療になるでしょう。このような治療は、耳鳴りの専門外来を持つ病院や大学病院などで受けられますが、事前に問い合わせるのがよいでしょう。

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