質問
ピロリ菌の再除菌をするように言われています。
答え
「胃潰瘍」でピロリ菌が陽性であったたために、除菌治療を受け、半年後の検査ではピロリ菌が陰性であったのに、1年後には胃潰瘍の再発と同時にピロリ菌も陽性となっていたのですね。
これは時々ある残念なケースです。最初の除菌治療は、「胃潰瘍治療のガイドライン」にもあるように適切な治療です。半年後の「ピロリ菌陰性」は、結果的にみると「偽陰性」の可能性があります。このようなケースはまれですが、検査方法によっては時々あるのです。少量ですが、ピロリ菌が胃のどこかに残っていたと思われます。
もちろん、いったん除菌されていて、新しいピロリ菌が再感染した可能性はあるのですが、これは非常にまれであると考えられています。いずれにせよ、ピロリ菌の再燃または再感染とともに1年後に胃潰瘍の再発が起こったものと考えられます。したがって、最初の除菌治療は失敗したと考えて、再度の除菌治療が必要と思われます。この場合、生検組織を用いた「ピロリ菌の耐性」に関する検査を行う場合もありますが、一般的には、最初に用いた抗生物質には耐性があると判断して、異なる抗生物質を用います。具体的に申しますと、最初に用いたクラリスロマイシンをメトロニダゾールという抗菌薬へ変更した治療を行います。
除菌に成功する確率は約90%ですが、除菌治療の1週間は禁酒が必要です。ただし、このメトロニダゾールは、ピロリ菌の除菌治療に対して健康保険の適用がありません。この薬については自費になる可能性もあることを承知したうえで、担当医にご相談ください。もし、「最初と同じ抗生物質でなければ治療できない」といわれた場合は、ピロリ菌の専門医にセカンドオピニオンを求めるべきだと思います。
なお、胃潰瘍はピロリ菌の除菌治療で再発は激減するのですが、まったく再発がないわけではありません。また、胃潰瘍の人の胃は、胃がんが発症するリスクも健常者より若干高いために、除菌に成功しても定期的な内視鏡検査をお受けになつたほうが賢明です。
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