減塩食で塩分を控えても血圧が下がらない体質の人が一定数いる

「日本人に高血圧が多いのは、塩蔵物などによる塩分の摂り過ぎ」と言われ始めたのは、戦後まもなく。それからずいぶん久しいのですが、この間に塩分と高血圧の関係について多くの研究成果が報告され、減塩による降庄効果は常識になりました。

一般家庭でも、「高血圧予防には減塩」という意識が広がり、いまや、減塩醤油、減塩味檜といった減塩食品が豊富に出回っています。なぜ、塩分をたくさん摂ると血圧が上昇するのでしょうか?

降圧剤や減塩で血圧が下がりにくいタイプの人がいる

血圧の上昇要因には動脈硬化などで血管の抵抗が増す場合と、心臓から血管内に送り出される血液の量が多くなる場合のふたつが考えられます。

塩分と血圧の関係はおもに後者です。料理などで青菜、魚、肉などに塩を振りかけると、水分が出てきます。これは塩が水分を吸い寄せるという性質を利用した調理法で、保存の効く漬物や干物などの塩蔵物を作る時は欠かせない手順です。人間の体のなかでも、塩は水分を吸い寄せようとします。

ですから、塩分を多く摂れば摂るほど、体内を循環する血液が増え、心臓から送り出される血液畳も増加して血圧を上げてしまうというしくみです。このため、日本高血圧学会は、1日の食塩摂取量を6 グラム以下に抑えるように推奨しているのですが、塩分をいくら減らしても、血圧が下がらない人がいます。

このような人は「食塩感受性が低い」(逆に血圧が下がれば食塩感受性は高い) と言われ、全高血圧患者の7割も占めるのです。したがって、多くの人は減塩だけで血圧を下げることはできません。ただ、食塩は血圧の上昇と無関係に、心臓や血管に悪影響を及ぼすことがわかってきました。

自分の食塩感受性を調べるためには、入院をして特別な検査が必要です。高血圧治療に用いられている薬のなかには、食塩摂取が多くなると効果が減るものもあります。高血圧、心筋梗塞、脳卒中など心臓や血管の病気が心配な人は、食塩感受性にかかわらず、やはり、減塩を心がけたほうがいいのです。医師から処方された血圧の薬を、独自の判断で中止することはたいへん危険です。くれぐれも注意してください。

睡眠をしっかりとれるようになって血圧が下がる人が多いのもこのタイプの特徴です。

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